8.4 制御用震度計
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8.4.1 制御用震度計とその問題点 | ||
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新幹線や超高層ビルのエレベータのように高速で運転しているものについては地震動が特に危険であるから、地震動がある大きさになった場合に自動的に制御する必要がある。JRでは約20km間隔で加速度型の強震計を設置している。列車の一部を浮き上がる大きさの地動加速度もありえる。したがって、停車信号は被害発生の一歩手前即ち地動加速度が震度4になったときに発せられる。加速度と震度との関係は、ここでは河角の式がそのまま使われ、震度4を25gal〜80galとしている。 1983年日本海中部地震(M=7.7,△=520km)のときに、新宿のある超高層ビルのエレベータの管制ケーブルが大揺れして、高速で上下しているエレベータに切断されるという事故が起きた。ここでも制御用震度計が設けられていたが、それは新幹線と同じものであり、東京は震度0であった。この被害の2ヶ月後に東京で震度4の近地地震が発生し、震度計が働いてエレベータは停車したが他に被害はなかった。そして、エレベータの停まったこと自体が無視できない被害となった。このような矛盾に遭遇したためにエレベータ用の震度計開発がスタートした。図8.4.1-1は翌1984年長野県西部地震(M=6.8,△=200km)の時のそのビルの地下室および屋上の地震計記録である。ビルの屋上は周期5秒・振幅15cmで大揺れし、屋上から吊り下げられている管制ケーブルが共振によってさらに数メートルに増幅され、上下するエレベータに挟まれて切断されたのである。この時の東京の震度は3である。他に被害はなかったが、ほとんどの超高層ビルのエレベータは同様の被害を受けた。
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