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8.2 気象庁の計測震度および新しい震度階級



8.2.1 計測震度制定の経緯



図8.2.1-1 3種の震度階と物理量との関係.[村松(1967)による]
震度階:JMA;気象庁旧震度階、MM;改正メリカリ震度階、MSK;MSK震度階
出典:KAWA;河角(1943)、GUTE;Gutenberg and Richter(1942)、MEDV;Medvedev(1960)、NEUM;NEUMAN(1960)、MURA;村松(1967)



図8.2.1-2 震度別加速度および速度の最大値と周期との関係.[村松(1995)および鉢嶺(1989)による]



 震度を判定する基準として主に用いられているデータは住家の被害程度である。それは国によりまた時代によって変化している。したがって震度を地震計による計測量で表す試みはいろいろな人によって試みられてきた。この例を図8.2.1-1に示す(脚注)。ここでは被害に関係の深い物理量として地震動の速度最大値および速度の最大値が用いられている。このように並べてみると各震度階の対応がつき、各国の地震の震度分布を比べることができる。

 気象庁では「震度問題検討委員会」を組織し、その報告書が1988年に出された。その基礎データを図8.2.1-2に示す。ここでは周期の影響が注目されている。1995年兵庫県南部地震(7.2)の大災害が発生し、気象庁は震度の速報体制の必要に迫られ、1996年2月に計測震度の算定方法と新しい震度階級およびその解説表が定められ、官報で公示された。

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注 1) JMA:気象庁震度階、河角(1943)
  2) MM:Modified Mercalli 震度階、Gutenberg and Richter(1942)
  3) MSK:Medvedev Sponheuer Karnik震度階、Medvedev(1960)
  4) 村松(1967)
  5) Neumann(1960)

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