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8.1.2 震度の行政的役割



図8.1.2-1 地震防災の体制.[太田(1994)による]

 1923年関東地震では東京・横浜の大都市で震度6から7の大被害が発生し、しかも昼食時であっため大火災も発生した。1995年の神戸の地震は早朝の就寝中に発生し、多数の倒壊家屋を生じる震度7の地震も生じた。その周辺の震度6の地域でも交通がまひし、情報も混乱して救援活動に支障を来した。もし、この地震の発生時刻が出勤時であったならば、交通機関の被害のために別の形の大災害が発生したであろう。このような地震災害に対しては自治体の役割が重要であり、「震度」および「時刻」を想定した被害予測とその対策が求められている。

 「震度」の想定は、また長期の都市設計にも重要であり、過去の地震活動に対する知識も重要であろう。行政における地震防災活動の内容は図8.1.2-1のように、事前対策から復旧・復興まで広範囲にわたるものである。


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