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第8章 震度

8.1 震度とその役割



8.1.1 震度の定義

                           
 震度は「人体感覚、身の周りの物体の動き、構造物の揺れおよび被害程度、地変の程度などから総合的に推定された地震動の強さの階級」と定義される。日本では1949年以後、有感地震動の範囲を7階級に分けており、これを抽象的に表現すれば表8.1.1-1のようになる。

 これに具体的な身の回りの現象を当てはめたのが「気象庁震度階級の説明」である。「説明表」は幾度かの変遷を経たが1996年の改定前は表8.1.1-2(気象庁,1949;宇津,1987)のようなものであった。ヨーロッパやアメリカで使われているMM震度は12階級で表8.1.1-3(宇津,1987)である。旧ソ連、東欧、中国ではMSK震度階が用いられている。これはMM震度階と同様の12階級であり、対象を定めてその被害程度をなるべく定量的に表現したものである。これらの「説明表」は「震度判定表」またはそれぞれの震度階の定義と言ってもよいものである。

 気象庁震度階級は、1996年に計測震度の導入に伴って大幅に改定され、従来の震度VとVIがそれぞれ強弱に区分された。ここでは、1996年改定の震度階級を「新震度(階級)」と呼び、表8.1.1-2によって定められた過去の震度階級を「旧震度(階級)」と呼ぶ。



表8.1.1-1 気象庁震度階級の抽象的表現
震度1 少数の人だけに感ずる程度の強さ
震度2 全ての人に感ずる程度
震度3 家屋の揺れが分かる程度
震度4 恐怖を感ずる
震度5 被害が発生する
震度6 大被害
震度7 壊滅的被害

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