前ページ次ページ

7.2 大地震による被害の分布と地盤の影響



7.2.1 1891年濃尾地震と
1944年東南海地震の被害分布の比較



図7.2.1-1 濃尾地震の震源分布[村松・小見波(1993)による]


図7.2.1-2 東南海地震(1944)の震度分布.(当時の市町村の調査統計による).[宮村(1946)による]

 大地震ほど被害範囲が広くなるので、地盤の影響がよく現れる。図7.2.1-1は1891年濃尾地震(=8.0)#1の震度分布である。当時、地震の1ヵ月後に、帝国大学総長加藤弘之 の名で全国の県知事あてに24項目のアンケート調査表が送られ、1年後に全国の1300の市町村からの詳しい状況が回答された。図7.2.1-1の震度分布はこの質問項目の中の住家の被害程度から定められたものである。

 図7.2.1-2は1944年東南海地震(=7.9)の住家被害率の分布であり、 ≧0% は震度6-, ≧5% は震度6+、≧20% は6+〜7-に相当する。図7.2.1-1に示した濃尾地震の震度7の領域を通る実線は地表断層であり、図7.2.1-2の大きな楕円は東南海地震の波源域(=断層面の平面投影)である。両者の震源規模および震度5以上の広がりは大体似ている。そして、陸の大地震に対しても、海の大地震に対してもいつも被害を受けやすい地域が認められる。

 1891年濃尾地震の震度6以上を赤で、1944年東南海地震の震度6以上の地域を青で塗りつぶしたが、震源から離れた所での被害地域はほとんど同じである。即ち、西は大阪平野、奈良盆地、琵琶湖沿岸の長浜などであり、東は静岡県の太田川流域、清水市などである。濃尾平野の南西側は濃尾地震の震源からやや離れているに拘わらず震度7の大被害を受け、東南海地震でも震度6の地域が入り込んでいる。この辺は木曽川、長良川、揖斐川の三つの大河の集まった軟弱地盤である。


◇◇◇










註#1:日本の地震のはすべて(気象庁マグニチュード)を示す。 前ページ次ページ