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4.2.6 地震波の減衰(その2)

                          
 ここでは、地震動の最大振幅の距離減衰に着目する。最大振幅は、直達S波またはその直後に現れることが多い。しかし、P波、表面波などが最大振幅を与える場合もある。また、同じ地震でも、ある観測点ではP波が、別の観測点ではS波が最大振幅となることもある。

 こうした複雑な事情があるので、最大振幅の距離減衰を理論的に扱うのは容易ではない。そこで、実際の観測データに基づいて、経験的な距離減衰式がいくつか提案されてきた。古典的なものとしては、坪井忠二が提案した

(4-7)

がある。ここで、は水平2成分を合成した地動の最大変位振幅(単位:μm)、は地震のマグニチュード、Δは震央距離(単位:km)である。この式を =の形に書きかえるとの算出式になる。実はこれが坪井のマグニチュード定義式で、1950年代以後、気象庁マグニチュードの基準として使われてきた。

 現在では、(4-7)を拡張し、震源距離を用いた式:

(4-8)

が観測と比較的よく適合するとされている。 は定数である。これらを地震波の周期の関数とした式も提案されている。また、地動の変位だけでなく、速度、加速度の最大振幅を扱った経験式も多い。


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