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長周期地震動モニタについて

■長周期地震動モニタの概要■

 長周期地震動モニタは、高層ビルのような長大構造物を大きく揺らすゆっくりとした揺れ(周期の長い揺れ)である長周期地震動について、強震モニタのように観測データと予測データをリアルタイムに表示するWebサービスです。
 観測データとして、防災科研が運用する強震観測網で観測された長周期地震動階級や周期帯ごとの揺れを大きさに応じて色を付けて地図上に点で表示します。各観測点の揺れの大きさを1秒毎に更新することで、揺れの伝わっている様子が動画として確認できます。予測データとしては、気象庁の緊急地震速報の震源情報をもとに推定した長周期地震動階級を予測値の大きさに応じて地図を色づけして表示します。観測データを表す点が背景の予測の色づけに紛れて区別できない状態になれば、予測データと観測データが一致したことを意味します。
 長周期地震動の大きさは強震モニタで表示しているリアルタイム震度や最大加速度の大きさとは対応しない場合があり、条件によっては震源から遠く離れた場所でも大きく揺れるという特徴があります。長周期地震動指標とリアルタイム震度などを並べて表示することで、様々な特徴の地震の揺れに対応した形での、リアルタイムの揺れの情報提供を行っています。


■長周期地震動モニタの利用条件■

長周期地震動モニタは国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下「防災科研」)が運用しています。長周期地震動モニタの利用に当たっては、本利用条件に同意したものとみなします。本利用条件は、防災科研の「地震津波火山観測研究センターのデータ公開に関する考え方」に基づいています。利用にあたっては同文書も参照ください。なお、本利用条件は予告なしに変更される場合があります。最新の内容をご確認いただきますようお願いいたします。


(1)コンテンツの帰属及び複製
長周期地震動モニタで公開されている画像、映像その他の情報(以下「長周期地震動モニタコンテンツ」)は、他機関から提供され、当該機関が権利を有するものを除いて、防災科研が著作権を有します。これらの一部、または全部の複製は、私的使用又は引用等著作権法上認められた行為を除き禁止します。複製したコンテンツの転載、改変、送信、再配布等を行うことは固くお断りします。

(2)免責事項
防災科研は長周期地震動モニタコンテンツを利用したこと、またそれらが利用できなかったことにより生じる一切の損害等に一切の責任を負いません。また、長周期地震動モニタコンテンツの変更や削除等に伴う損害等に一切の責任を負いません。長周期地震動モニタコンテンツは、予告なしに変更または削除されることがあります。また、長周期地震動モニタの配信形態は、予告なしに変更されることがあります。

防災科研が被災した際や過度のアクセス集中が発生した場合、または不測の事態が発生した場合には、長周期地震動モニタによる情報配信が停止する可能性があります。

(3)気象業務法による利用の制約
長周期地震動モニタの表示している長周期地震動指標及び震度の予測分布は、気象庁による緊急地震速報の震源情報を用いて、防災科研の取得している地震動の予報業務許可(許可第218号)に基づき予報しています。長周期地震動モニタの緊急地震速報の震源情報を抽出し、その震源情報を用いて地震動を独自に予測し公開することは地震動の予報業務に当たり、気象業務法の制限を受ける行為となります。また、長周期地震動モニタの緊急地震速報の震源情報の利用に関しては、「長周期地震動モニタ利用にあたってのお願い」もご確認ください。


■長周期地震動モニタ利用にあたってのお願い■

地面は生活振動(車、列車、工場、工事など)のために日常的にわずかに揺れており、平常時でも長周期地震動モニタ上で色の変化があります。またリアルタイムに観測データを処理しているため、ノイズや機器障害により色が変化する場合もあります。そのため観測点での色の変化は地震以外の理由による可能性があります。

長周期地震動モニタは、複数地点における揺れの様子を地図上に可視化することで、地震の揺れの様子を直感的に捉えていただくことを意図しています。しかしながら、個別観測点での色の変化の検知や、色から観測値を抽出するなど、防災科研が意図していない形での長周期地震動モニタコンテンツ利用が複数のアプリ・Webサービスにおいて行われています。上述の通り観測点での色の変化は地震以外の理由の可能性があるため、個別観測点での色の変化に注目することは適切ではありません。また気象庁より発表される長周期地震動に関する観測情報及び震度情報が長周期地震動モニタ上の情報と必ずしも一致するわけではありません。防災科研や関係機関等の通常業務及び防災対応の妨げになることが懸念されるため、このような防災科研の意図しない形で処理した情報を公開もしくは配信することはお控えください。

長周期地震動モニタは、「免責事項」でも記載した通り、情報配信の停止もしくは遅延が生じることがあり、また予告なしに公開されているコンテンツの変更または削除、配信形態の変更を行うことがあります。そのため、長周期地震動モニタで表示している緊急地震速報の震源情報等に依拠した即時的な情報配信を行うことはお控えください。

防災科研が運用している長周期地震動モニタはhttps://www.lmoni.bosai.go.jp/monitor/のみであり、これ以外のサービス等に関する質問やコメント、要望等に関しては受けつけていません。

■長周期地震動モニタの表示について■

長周期地震動階級やリアルタイム震度など様々な特徴の揺れに対応した長周期地震動モニタ


通常時の長周期地震動指標の表示


通常時のリアルタイム震度などの表示


設定画面


緊急地震速報(予報)受信時
(震源深さが150km以浅で、最大震度3以上またはマグニチュード3.5以上と予想された場合)
【クリックで音声を確認できます】


緊急地震速報(警報)受信時
(最大震度が5弱以上と予想された場合、または長周期地震動階級が3以上と予測された場合)
【クリックで音声を確認できます】


過去の大地震時の様子をご覧いただけます。(MP4ファイル。再生ソフトが起動します)


■長周期地震動指標について■

●長周期地震動階級
 周期1.6~7.8秒の全ての絶対速度応答スペクトル(Sva)の最大値から、下表にもとづき計算します。
●周期ごとの階級データ
 周期1秒台、2秒台、...、7秒台の絶対速度応答スペクトル(Sva)の最大値から、下表にもとづき計算します。
●絶対速度応答スペクトル(Sva)
 高層ビルにおける高層階の揺れの大きさを表現するために、高層ビルを振り子でモデル化し高層階の揺れに相当する振り子の揺れ(絶対速度応答波形)を地表の揺れから計算します。振り子の揺れの最大値を周期に対してプロットしたものを絶対速度応答スペクトル(Sva)と言います。長周期地震動階級の計算の際には、周期1.6~7.8秒(0.2秒刻み)・減衰定数5%の振り子モデルから計算した絶対速度応答スペクトル(Sva)を用います。
 ※長周期地震動階級等の指標は、その場所に高層ビルがあれば高層階でどのような揺れになるかを推計したものであり、実際の構造物の特性を考慮した構造物そのものの揺れを表すものではありません。詳細は「長周期地震動階級および長周期地震動階級関連解説表について」(気象庁ホームページ)もご覧ください。

長周期地震動階級絶対速度応答スペクトルSva(減衰定数5%)の値
(対象周期T 1.5秒 < T < 8.0秒)
階級1 5cm/s ≦ Sva < 15cm/s
階級2 15cm/s ≦ Sva < 50cm/s
階級3 50cm/s ≦ Sva < 100cm/s
階級4 100cm/s ≦ Sva

 長周期地震動の予測値・観測値は、長周期地震動階級の計算に用いる絶対速度応答スペクトル(Sva)の値にもとづき色をつけています。


■緊急地震速報について■

 地震発生の情報(震源の情報、最大予測震度の情報)は、気象庁による緊急地震速報の情報を用いて表示しています。
 気象庁が利用している2点以上の地震計で地震波が観測され、最大震度が5弱以上と予測された場合、または長周期地震動階級が3以上と予測された場合に緊急地震速報(警報)が発表されます。この場合、長周期地震動モニタでも警報の文字情報を表示しますので、周囲の状況に応じて、慌てずに、まず身の安全を確保してください。
 緊急地震速報(予報)が発表された場合、長周期地震動モニタで予測データや震源情報の表示を行う条件は、
  • 気象庁が利用している2点以上の地震計で観測された地震波の解析で震源・マグニチュード・各地の予測震度が求まる
  • 震源深さが150km以浅と推定される
  • マグニチュードが3.5以上、または最大予測震度が3以上である
としています。
 緊急地震速報の詳細は、気象庁の「緊急地震速報について」のページをご覧下さい。


■P波・S波到達予想円について■

 気象庁の走時表(JMA2001走時表)から計算される、地震波のP波およびS波初動の到達予想地点を表示しています。P波・S波到達予想円の半径が2,000kmに達して以降は、走時表の範囲を超えるため、円の表示を行いません。


■長周期地震動の予測分布について■

 長周期地震動モニタでは、緊急地震速報を用いた長周期地震動階級等の予測を約5㎞四方のメッシュ単位で行い、地図上ではメッシュを色付けして表示しています。
 予測の方法は、平成十九年十一月二十六日気象庁告示第十一号の第2項第二号アーイおよび第三号に従い、緊急地震速報による地震の位置・規模をもとに、地震の規模・震源から予測点までの距離と予測点の地盤情報を考慮して予測値*を計算します(Dhakal et al. (2015)の手法による)。
 地盤情報については防災科研の地震ハザードステーション(J-SHIS)で公開されている深部地盤モデルのS波速度構造1.4km/s上面深さを用います。
 *絶対速度応答スペクトル(Sva)を予測し、その値から長周期地震動階級等の予測値を計算します。なお前述の通り、実際の構造物の特性を考慮した構造物そのものの揺れの予測ではありません。

参考文献
 Dhakal, Y. P., W. Suzuki, T. Kunugi, and S. Aoi (2015), Ground Motion Prediction Equations for Absolute Velocity Response Spectra (1-10 s) in Japan for Earthquake Early Warning, 日本地震工学会論文集, 15, 6_91-6_111, https://doi.org/10.5610/jaee.15.6_91
 Dhakal, Y. P., W. Suzuki, T. Kunugi, and S. Aoi (2018), Performance Evaluation of Ground Motion Prediction Equations for Absolute Velocity Response Spectra (1-10 s) in Japan for an Earthquake Early Warning, 日本地震工学会論文集, 18, 2_203-2_216, https://doi.org/10.5610/jaee.18.2_203


■長周期地震動の観測値について■

 防災科研が運用する全国の強震観測点において揺れの記録から逐次的に絶対速度応答スペクトル(Sva)を計算し、その値から長周期地震動階級等の観測値を計算します。観測値は各観測点の位置にある点の色で表現します。気象庁ホームページで発表している長周期地震動に関する観測情報の内容とは、使用するデータや計算方法が異なるため必ずしも一致しません。


■日本地図県境線について■

 国土数値情報を使用しています。