■長周期地震動指標について■
●長周期地震動階級
周期1.6~7.8秒の全ての絶対速度応答スペクトル(Sva)の最大値から、下表にもとづき計算します。
●周期ごとの階級データ
周期1秒台、2秒台、...、7秒台の絶対速度応答スペクトル(Sva)の最大値から、下表にもとづき計算します。
●絶対速度応答スペクトル(Sva)
高層ビルにおける高層階の揺れの大きさを表現するために、高層ビルを振り子でモデル化し高層階の揺れに相当する振り子の揺れ(絶対速度応答波形)を地表の揺れから計算します。振り子の揺れの最大値を周期に対してプロットしたものを絶対速度応答スペクトル(Sva)と言います。長周期地震動階級の計算の際には、周期1.6~7.8秒(0.2秒刻み)・減衰定数5%の振り子モデルから計算した絶対速度応答スペクトル(Sva)を用います。
※長周期地震動階級等の指標は、その場所に高層ビルがあれば高層階でどのような揺れになるかを推計したものであり、実際の構造物の特性を考慮した構造物そのものの揺れを表すものではありません。詳細は
「長周期地震動階級および長周期地震動階級関連解説表について」(気象庁ホームページ)もご覧ください。
長周期地震動階級 | 絶対速度応答スペクトルSva(減衰定数5%)の値 (対象周期T 1.5秒 < T < 8.0秒) |
階級1 |
5cm/s ≦ Sva < 15cm/s |
階級2 |
15cm/s ≦ Sva < 50cm/s |
階級3 |
50cm/s ≦ Sva < 100cm/s |
階級4 |
100cm/s ≦ Sva |
長周期地震動の予測値・観測値は、長周期地震動階級の計算に用いる絶対速度応答スペクトル(Sva)の値にもとづき色をつけています。
■緊急地震速報について■
地震発生の情報(震源の情報、最大予測震度の情報)は、気象庁による緊急地震速報の情報を用いて表示しています。
気象庁が利用している2点以上の地震計で地震波が観測され、最大震度が5弱以上と予測された場合、または長周期地震動階級が3以上と予測された場合に緊急地震速報(警報)が発表されます。この場合、長周期地震動モニタでも警報の文字情報を表示しますので、周囲の状況に応じて、慌てずに、まず身の安全を確保してください。
緊急地震速報(予報)が発表された場合、長周期地震動モニタで予測データや震源情報の表示を行う条件は、
- 気象庁が利用している2点以上の地震計で観測された地震波の解析で震源・マグニチュード・各地の予測震度が求まる
- 震源深さが150km以浅と推定される
- マグニチュードが3.5以上、または最大予測震度が3以上である
としています。
緊急地震速報の詳細は、気象庁の
「緊急地震速報について」のページをご覧下さい。
■P波・S波到達予想円について■
気象庁の走時表(JMA2001走時表)から計算される、地震波のP波およびS波初動の到達予想地点を表示しています。P波・S波到達予想円の半径が2,000kmに達して以降は、走時表の範囲を超えるため、円の表示を行いません。
■長周期地震動の予測分布について■
長周期地震動モニタでは、緊急地震速報を用いた長周期地震動階級等の予測を約5㎞四方のメッシュ単位で行い、地図上ではメッシュを色付けして表示しています。
予測の方法は、平成十九年十一月二十六日気象庁告示第十一号の第2項第二号アーイおよび第三号に従い、緊急地震速報による地震の位置・規模をもとに、地震の規模・震源から予測点までの距離と予測点の地盤情報を考慮して予測値*を計算します(Dhakal et al. (2015)の手法による)。
地盤情報については防災科研の地震ハザードステーション(J-SHIS)で公開されている深部地盤モデルのS波速度構造1.4km/s上面深さを用います。
*絶対速度応答スペクトル(Sva)を予測し、その値から長周期地震動階級等の予測値を計算します。なお前述の通り、実際の構造物の特性を考慮した構造物そのものの揺れの予測ではありません。
参考文献
Dhakal, Y. P., W. Suzuki, T. Kunugi, and S. Aoi (2015), Ground Motion Prediction Equations for Absolute Velocity Response Spectra (1-10 s) in Japan for Earthquake Early Warning, 日本地震工学会論文集, 15, 6_91-6_111,
https://doi.org/10.5610/jaee.15.6_91
Dhakal, Y. P., W. Suzuki, T. Kunugi, and S. Aoi (2018), Performance Evaluation of Ground Motion Prediction Equations for Absolute Velocity Response Spectra (1-10 s) in Japan for an Earthquake Early Warning, 日本地震工学会論文集, 18, 2_203-2_216,
https://doi.org/10.5610/jaee.18.2_203
■長周期地震動の観測値について■
防災科研が運用する全国の強震観測点において揺れの記録から逐次的に絶対速度応答スペクトル(Sva)を計算し、その値から長周期地震動階級等の観測値を計算します。観測値は各観測点の位置にある点の色で表現します。気象庁ホームページで発表している長周期地震動に関する観測情報の内容とは、使用するデータや計算方法が異なるため必ずしも一致しません。
■日本地図県境線について■
国土数値情報を使用しています。