平成15年十勝沖地震の地震波伝播の可視化について

独立行政法人防災科学技術研究所
平成15年10月14日記者レク資料

はじめに
 独立行政法人防災科学技術研究所(理事長・片山恒雄)は、9月26日に発生した平成15年十勝沖地震の地震波が伝播する様子を、当研究所の観測データをもとに画像化しました。
 データは当研究所が運用管理する強震観測網(K-NET, KiK-net)で観測されたもので、それを当研究所のスーパーコンピューターで処理、可視化しました。地震波が日本列島を伝播していく様子が浮き彫りになりました。

1.K-NET, KiK-netによる強震観測
1995年の阪神淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震の際、震度7の揺れであったとされるいわゆる『震災の帯』の中では、地震計による観測記録がほとんど得られませんでした。このため地震動を十分に把握することは出来ず、防災対応・対策上に問題を残しました。その反省にたって、防災科研では、日本全国を約25km間隔で均質に地震計で覆う強震観測網K-NET(Kyoshin Network)を構築し、1996年6月から観測およびデータを公開しています。
さらに、総理府に設置(当時。現在は文部科学省に設置)された地震調査研究推進本部のもと平成9年より進められている「地震に関する基盤的調査観測計画」の一環として、防災科研では新たに全国で約660点の観測網KiK-net(Kiban-Kyoshin Network)の建設・運用を担当しています。KiK-netでは、表層付近の軟らかい地盤の影響を受けずに観測を行うために100mから2000m級の観測井戸を掘削し、井戸底で強震計を設置するとともに、地盤の影響を受けている地表とペアーで強震観測を行っています。

2.2003年十勝沖の地震
2003年9月26日午前4時50分に十勝沖を震源とするMJMA8.0の地震が発生し、最大震度6弱(気象庁発表)を記録しました。この地震は、沈み込んだ太平洋プレートの上面で発生した典型的なプレート境界型地震であると考えられます。K-NET、KiK-netの運用が始まって以来初めての日本周辺におけるM8クラスの地震(除く深発地震)であり、北海道から東北・関東・北陸・東海地方など広範囲にわたって揺れました。
この地震では、北日本を中心に652点で強震データが収録され、面的に地動(地面のゆれ)を捉えることができました。

3.可視化
そのデータをもとに、当研究所のスパーコンピューターSGI Origin 3800(384CPU, 384Gbmmory, 実行性能 384GFlOPS, Infinite Reality 3搭載, OS: IRIX 6.5)などを用い、可視化ソフトAVS EXPRESS Developer 6.2、GMT3.4.1(National Science Foundation)により、地震波が日本列島を伝播する様子を動画(アニメーション)化しました。
東西方向のゆれ成分に着目し、加速度(地面のゆれ)の大きな地点は赤や青、小さな地点は緑など色別に示すとともに、振幅でも表現しました。時間を追って震源から地震波が伝わる様子(波動伝播)とゆれの大きさがパソコン上で、動画として分かりやすく表示されます。また、地盤の強度などによる揺れの地域差などもつかめます。
 画像処理の結果からは、北海道では根釧原野、苫小牧市などがある勇払平野、石狩平野、天塩平野などで長時間にわたって継続的なゆれが見られます。また、本州では関東平野や新潟平野で同じ現象が続くことがわかりました。

以 上

記者レク資料(含む図)  [PDF, 1.8MB]
◎今回作成した波動伝播の動画

 加速度
 ・北から見た動画: MS-MPEG4形式 [2.2MB] / DivX形式 [4.2MB]
 ・南から見た動画: MS-MPEG4形式 [3.0MB] / DivX形式 [4.4MB]

 速度
 ・北から見た動画: MS-MPEG4形式 [3.3MB] / DivX形式 [4.2MB]
 ・南から見た動画: MS-MPEG4形式 [2.6MB] / DivX形式 [4.4MB]

 MS-MPEG4形式は Microsoft MPEG-4 Video Codec V1 により圧縮されています。また、DivX形式は DivX Codec により圧縮されています。すべて352×240ピクセルとなっています。

* 再生できない場合はリンクを右クリックし、「対象をファイルに保存」を実行して動画ファイルをローカルドライブに保存してから再生してください。