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4.3.2 ダブルカップル震源



図4.3.2-1 断層のずれ破壊を引き起こす力系



図4.3.2-2 ダブルカップル震源の地震波放射パターン
曲線上の点と原点を結ぶ線分の長さが,その方向へ放射される地震波の相対的な振幅を表わす.

 それでは、震源では何が起きているのだろうか。結論を言えば、地下で岩盤が急激にずれ動く断層破壊が地震の本質である。専門用語では、これを「せん断破壊」と呼ぶが、ここでは「断層破壊」という言葉を使うことにする。この破壊の衝撃によって、地震波が生成される。

 断層破壊の際には、ひとつの面を境にしてその両側が逆方向にずれ動き、その結果、岩盤の中に食い違いが生じる。この食い違い面を「震源断層」という。大地震の時に出現する地震断層は、この震源断層が地表まで達したものにほかならない。

 断層破壊を起こすためには、周りから何らかの力を加えねばならない。図4.3.2-1をご覧いただきたい。図の(a)は、震源断層に沿うずれの力を表し、これをシングルカップルと呼ぶ。(b)ではこれと直交する方向に同じ大きさのずれの力が付け加わり、ダブルカップルと呼ばれる。あなたは、断層をずれ動かす力として、どちらがふさわしいと思いますか?

 正解は、意外にも(b)であった。これが理論的に証明されたのは1960年代のことである。これによって、地震の本質は断層破壊であり、破壊をもたらす力系はダブルカップルである、という震源像が確立された。

 ダブルカップル震源からは、図4.3.2-2に示すように、四葉型のパターンで押しと引きの地震波が放射される。その結果、いろいろな方向で観測された初動に、前ページで見た4象限型の押し引き分布が現れる。押しと引きの境となる4つの方向には、P波は放射されない。これが初動押し引き分布の節面の方向である。

 図4.3.2-2から分かるように、2つの節面の一方は、震源断層の面と一致する。従って、初動の押し引き分布は、震源断層面や断層ずれの方向について、最も基本的な情報を与えてくれる。


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