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4.2.5 地震波の減衰(その1)

                           
 直達波の振幅(r)は、

(4.6)

に従って震源距離rとともに減衰する。ここで、tは直達波の走時、は周波数、は減衰の強さを表す定数である。(r)は幾何減衰項と呼ばれ、波面が広がるにつれて波のエネルギーが薄まって行く効果を表す。実体波では、表面波ではとなる。

 には、散乱減衰と内部減衰の2つの効果が含まれている。散乱減衰は地球内部の不均質性に起因するものである。地球内部の密度や地震波速度は、大局的には球対称の分布をしているが、実際には場所ごとのゆらぎが無視できない。極端な例をあげれば、マグマ溜まりでは地震波速度が周囲よりずっと遅い。地震波はゆらぎが大きい場所でいろいろな方向に散乱される。遠方で散乱された波は、媒質中を寄り道してくるために着震時が遅れ、図4.1.2-1(a)で見たコーダ波が形成される。震源から出た地震波のエネルギーはコーダ波に一部分配され、直達波の振幅が減衰する結果となる。

 一方、内部減衰は、波動のエネルギーが摩擦などによって熱エネルギーに転化する現象である。幾何減衰、散乱減衰の場合には、波が広い時間範囲に広がるだけで、全体を合計した波動エネルギーは失われない。

 より詳しくは第II部を参照されたい。




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