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2.4 地震空白域



2.4.1 3種類の地震空白域

                           
 最近、「地震空白域」という言葉がマスメディアにも登場するようになった。しかし、この用語には2つの異なる意味があり、しかも両者混同して使われることが多いので注意が必要である。

 第一は大地震の未破壊域を指すもので、ここでは内容に即して「大地震のギャップ」と呼ぶことにする。プレート境界では大地震が繰り返し発生しているが、1回の地震で破断するのはプレート境界の一部だけであり、それに隣接する区間はまた別の大地震で破断することになる。こうして、幾つかの大地震でプレート境界が一部分ずつ破断し、プレート境界が大地震の震源域で埋め尽くされると地震活動の一つのサイクルが終結する。

 従って、近年の大地震で未破壊の区間が残っていれば、そこは次の大地震の候補地と考えねばならない。これが大地震のギャップである。大地震のギャップは、地震発生の長期的予測に有用な情報を与えてくれる。

 第二は、普段から起きている小さな地震がある時期にほとんど起こらなくなり、「地震活動の静穏化」が生じるものである。大地震前の静穏化は数年から10年程度継続することが多く、地震発生の中期的予測に役立てることができる。

 以上の2つを地震の第1種空白域、第2種空白域と呼ぶこともある。しかし、両者は本質的に異なる現象なので、この誤解を生みやすい用語は避けた方がよい。

 最近、一部の研究者が第3種地震空白域という新たな概念を提唱している。これは、地震帯の中で数十年以上の長期間にわたって地震活動が低い区間を指すもの、とされている。しかし、その実態と意味づけは必ずしも明瞭ではない。


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